監修 国立病院機構大阪医療センター 外科・乳腺外科  増田 慎三 先生

HER2陽性乳がんに対するこれまでの治療

がんの治療には、“分子標的治療薬”とよばれるお薬が積極的に使われるようになってきました。分子標的治療薬とは、がんの発生や増殖などに関係する特定のタンパク質や酵素をねらって攻撃し、がん細胞の増殖を抑えるお薬のことです。HER2陽性乳がんのHER2を標的とするお薬も、分子標的治療薬の仲間です。日本で使えるお薬としては、2001年に登場したハーセプチン®(トラスツズマブ)と、2009年に登場したタイケルブ®(ラパチニブ)があります。

HER2陽性乳がんは、以前は治療効果の良いお薬がなく、HER2陰性に比べて進行が早く治療しにくい乳がんとされていましたが、HER2を標的とするトラスツズマブが使われるようになり、治療成績は大幅に上がりました。トラスツズマブは、手術後に再発した患者さんや、手術ができない進行した患者さんに対して他の抗がん剤や内分泌治療薬と組み合わせて使われており、また2008年からは手術後の再発予防にも使用できるようになりました。
しかし、トラスツズマブによる治療も、すべてのHER2陽性乳がんに効果があるというわけではありません。トラスツズマブが効かなかったり、トラスツズマブ治療後に悪化してしまった場合、その後の治療法については効果的なものが見つかっていませんでした。


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